話題の
ハイブリッドワークが
抱えるIT課題とは?
対策方法を解説

2023.05.18
2024.12.12

ハイブリッドワークとは?

新型コロナウイルスがインフルエンザと同じ「5類」に移行されたことにより、テレワーク廃止を進める企業が増えてきました。しかし、完全にテレワークをなくすのではなく、テレワークのいいところと従来のオフィスワークを有効的におり混ぜようということで最近、話題になり始めているのが「ハイブリッドワーク」です。

ハイブリッドワークでは、従業員は一部の時間をオフィスで働き、他の時間は自宅やカフェ、コワーキングスペースなどのリモート環境で仕事を行います。これにより、従業員は通勤時間の削減やフレキシブルなスケジュール管理が可能となり、ワークライフバランスの向上や生産性の向上が期待されます。

ハイブリッドワークの実現には、適切なコミュニケーションツールやリモートアクセスのインフラストラクチャ、セキュリティ対策などが必要となります。オフィスとリモートの両方の環境をシームレスに統合することで、従業員は適切なコミュニケーションと協働を維持しながら、自身の最適な働き方を実現することができます。企業はハイブリッドワークを導入することで、従業員の満足度と生産性の向上、多様な人材の獲得、オフィスコストの削減などのメリットを得ることができます。

ハイブリッドワークが抱えるIT課題

ハイブリッドワークには多くメリットがありますが、導入するにはいくつかのIT課題を乗り越えなければなりません。具体的なIT課題について下述でご説明します。

セキュリティとデータ保護の問題

ハイブリッドワークの普及に伴い、セキュリティとデータ保護の問題が企業にとって重要な課題となっています。まず、不正アクセスや悪意のある攻撃からデータを保護する必要があります。従業員が個々のデバイスやネットワークを使用するため、エンドポイントセキュリティが脆弱になる可能性があります。マルウェア感染や不正アクセスによる情報漏洩のリスクを最小限に抑えるために、強力なセキュリティソリューションの導入が必要です。

さらに、リモート環境でのデータ保護も重要です。機密情報や個人情報がリモートワーカーのデバイスやクラウドストレージに保存される可能性があります。データ暗号化、アクセス制御、バックアップの実施など、データの機密性と完全性を確保するための対策が必要です。

また、コラボレーションツールやクラウドサービスの使用も増えていますが、これらのサービスのセキュリティも確保する必要があります。信頼できるプロバイダーを選択し、データの暗号化やセキュアな通信プロトコルの使用など、サードパーティサービスのセキュリティを確保する措置が重要です。

従業員のセキュリティ教育も怠ることはできません。セキュリティ意識の向上や社内ポリシーの周知徹底によって、ハイブリッドワーク環境でのセキュリティリスクを最小化することができます。

ハイブリッドワークの普及に伴い、セキュリティとデータ保護は企業にとって絶えず意識すべき重要な課題です。適切なセキュリティ対策と予防策を講じることで、機密情報の保護と業務の継続性を確保することが求められます。

ネットワーク環境の整備と管理

ハイブリッドワーク環境では、適切なネットワーク環境の整備と管理が重要です。従業員がオフィスとリモートの両方で効率的に業務を行うためには、まず高速で安定したインターネット接続が必要です。従業員がリモートで仕事をする際には、高品質なネットワーク接続が必須です。企業は、適切な帯域幅を確保し、従業員がデータを効率的に送受信できるようにするために、ネットワークインフラの整備や最適化を行う必要があります。

次に、セキュリティ保護とアクセス制御が重要です。ネットワーク環境は、従業員や企業の機密情報を保護するために適切にセキュリティ対策を講じる必要があります。これには、ファイアウォールや侵入検知システムなどのセキュリティソリューションの導入、VPN(仮想プライベートネットワーク)の利用、強力なパスワードポリシーの設定などが含まれます。また、アクセス制御を実施することで、必要なユーザーだけがシステムやデータにアクセスできるように管理することも重要です。

さらに、ネットワークの監視と管理も欠かせません。ネットワークのパフォーマンス監視やトラブルシューティングを行い、障害や問題の早期発見・解決をすることで、従業員の業務の中断を最小限に抑えることができます。定期的なパフォーマンスチェックやアップデートの実施、バックアップの取得などの管理活動が必要です。

コミュニケーション不足によるプロジェクト管理の課題

ハイブリッドワークには、コミュニケーションと情報共有の課題があります。オフィスとリモートの従業員が異なる場所で働くため、進捗状況やタスクの詳細な共有が難しくなります。これを解決するためには、定期的なビデオ会議やチームミーティング、チャットツールやオンラインプロジェクト管理ツールを活用し、情報の共有やコミュニケーションを強化する必要があります。

さらに、優先順位と期限管理の課題があります。リモートワーカーが複数いる場合、タスクの優先順位や期限管理が複雑化します。これを解決するためには、プロジェクト管理ツールやタスク管理ツールを使用し、タスクの進捗状況や期限をリアルタイムで把握し、優先順位を明確化することが重要です。

最後に、成果物の可視性と評価の課題があります。リモートワーカーがオフィス外で作業するため、成果物の可視性や評価が難しくなる可能性があります。これを解決するためには、プロジェクト管理ツールやタスク管理ツールによる進捗管理やタスクの完了報告を活用し、成果物の可視性を高めると同時に、フィードバックや評価の機会を設けることが重要です。

ハイブリッドワークが抱えるIT課題の対策方法

ハイブリッドワークが抱えるIT課題を解消するには、対策方法を事前に把握して準備しておくことが重要です。下述にて具体的にご説明します。

「ゼロトラスト」によるセキュリティ強化

「ゼロトラスト」は、セキュリティを強化するための重要なアプローチです。従来のネットワークセキュリティモデルでは、信頼できる内部ネットワークと外部のネットワークを分けて考える傾向がありました。しかし、現代の複雑なサイバーセキュリティ脅威に対して効果的な防御を提供するためには、このアプローチを見直す必要があります。ゼロトラストでは、ネットワーク上のすべてのユーザー、デバイス、リソースに対して厳格な認証とアクセス制御を行います。つまり、信頼を前提とせず、すべての要素を疑うスタンスを取ります。

具体的には、EDRソフトなどのエンドポイントセキュリティの導入や、社外で使用する端末を一元管理するMDMの導入など、従業員が社外で使用するPCやスマホなどの端末にセキュリティ対策を講じる必要があります。ゼロトラストについて、より詳細な記事を掲載しているのでこちらもご覧下さい。

関連ページ:クラウド時代のセキュリティゼロトラスト構築

安定した通信とセキュリティ対策が整ったネットワークの構築

ハイブリッドワークでは、自宅やコワーキングスペースからVPNを使用して社内のネットワークにアクセスしたり、クラウドサービスを利用することでデータを共有をします。そのため、安定した通信とセキュリティ対策が整ったネットワークを構築することは、組織にとって重要な課題です

まず、ネットワークの安定性を確保するためには、冗長性と可用性の高い設計が必要です。複数のネットワーク経路や冗長化されたネットワーク機器を導入し、シングルポイントの障害に対する耐性を高めます。また、ネットワークトラフィックの監視と分析を行い、トラブルやボトルネックの早期発見と対処を行うことも重要です。

セキュリティ対策の面では、複数のレイヤーでのセキュリティ対策を実施する必要があります。まず、ファイアウォールや侵入検知システムなどのネットワークセキュリティデバイスを導入し、外部からの不正アクセスや攻撃を防止します。また、ネットワーク内部でもセグメンテーションを行い、不正なトラフィックの拡散を制限します。

さらに、データの暗号化やアクセス制御の強化など、適切なセキュリティポリシーを設定することも重要です。セキュリティの脅威は日々進化しているため、定期的なセキュリティ評価や脆弱性のスキャン、パッチ適用などの対策も怠ることなく実施する必要があります。

さらに、従業員の教育や意識向上も重要です。セキュリティポリシーの周知や、フィッシング詐欺やマルウェアへの対策など、セキュリティに関するトレーニングを行うことで、組織全体のセキュリティ意識を高めることが重要です。

関連ページ:ネットワークの冗長化で通信障害に備える

グループウェアによるプロジェクトやタスクの管理

グループウェアは、現代のビジネス環境において、プロジェクトやタスクの効率的な管理をサポートするための重要なツールです。グループウェアを活用することで、チーム全体の連携やタスクの進捗管理がスムーズに行えます。

グループウェアの最大の利点は、チームメンバー間の協調性を高めることです。プロジェクトやタスクに関連する情報やファイルを一元管理し、リアルタイムで共有することができます。メンバーは各自の役割や担当箇所を把握し、タスクの進捗状況や優先順位を確認できます。さらに、コメントやフィードバックの投稿、共同編集機能などを活用することで、意見の共有や連携が円滑に行われます。

また、グループウェアはタスクの管理においても優れた機能を提供します。タスクの作成や割り当て、期限の設定、進捗の追跡などを容易に行うことができます。個々のメンバーやチーム全体のタスクの状況を可視化し、リマインダーや自動通知を活用することで、締切や重要なステップの見落としを防ぐことができます。

さらに、グループウェアはプロジェクト全体の進行状況や成果物の管理にも役立ちます。ガントチャートやカレンダー機能を使用して、プロジェクトのスケジュールやリソースの管理を効率化することができます。プロジェクトの目標やマイルストーンを設定し、進捗状況を可視化することで、チーム全体のパフォーマンスを向上させることができます。

関連ページ:グループウェアで社内の業務フローを改善

ハイブリッドワークと相性がいい製品・サービス

次に、ハイブリッドワークと相性がいい製品やサービスをご紹介します。

EDRソフトウェア

EDRソフトウェアとは、エンドポイントにおける脅威を検知・分析し、対応するセキュリティ機能を提供するソフトウェアです。EDRは、Endpoint Detection and Responseの略語であり、主に企業や組織のネットワークにおけるエンドポイント(PCやスマートフォン、サーバーなど)のセキュリティ強化に利用されます。EDRソフトウェアは、機械学習や行動解析などの技術を駆使し、未知の脅威にも対応できる高度なセキュリティ機能を提供します。

従来のセキュリティソフトは「サイバー攻撃を受けないように対策する」ことが前提でしたが、EDRソフトウェアは「サイバー攻撃を受けても被害を最小限に抑え、速やかに復旧させる」ことを前提とした仕組みになっています。 

製品ページ:EDRソフトウェア

クラウドストレージ

クラウドストレージとは、インターネットを介してデータを保存・管理するためのオンラインのデータストレージサービスです。従来のローカルなデータ保存方法に比べて、クラウドストレージは多くの利点を持っています。

クラウドストレージの最大の利点は、データへのアクセス性の向上です。インターネットに接続されたデバイスからいつでもどこでもデータにアクセスできます。これにより、複数のデバイス間でデータを同期させる必要がなくなり、効率的な作業や共有が可能になります。また、クラウドストレージはストレージ容量が拡張可能であるため、データの増加に柔軟に対応することもできます。

製品ページ:Box

グループウェア

グループウェアは、社内でのコミュニケーションやスケジュール管理に欠かせないツールの一つです。グループウェアを導入することで、社員同士でスケジュールを共有し、調整する手間を省くことができます。また、自分のスケジュールをグループウェアに入力することで、他の社員に自分のスケジュールを把握してもらうことができます。これにより、会議や打ち合わせのスケジュールを調整する際に、スムーズに決定することができます。さらに、グループウェアにはタスク管理機能やワークフロー管理機能もあり、業務の効率化にも繋がります。

関連ページ:社内の業務フローを改善グループウェアで社内の業務フローを改善

ハイブリッドワークで実現する、さらなる効率化

いかがでしたでしょうか?テレワークとオフィスワークの両立「ハイブリッドワーク」は今後のビジネスのかたちとして広まっていくでしょう。テレワーク廃止の流れが出てきていますが、ただ急にテレワークを廃止にしていきなりオフィスワークに戻すというのは、従業員的には環境の変化に驚くた方々もいるはずです。従業員への配慮や今後のビジネスモデルに合った働き方を探していくことで、業務の効率化が達成されます。さらにハイブリッドワークはオフィスワークと比較して離職率を減らす効果や求人効率をあげる効果もあるので、人材育成などにも有効的です。自社に合った働き方の形を探していきましょう!

ルートシステムでは、お客様の環境に応じた新しい働き方のご提案とネットワークやセキュリティの構築をサポートします。まずはお気軽にお問い合わせください。