Wi-Fiのセキュリティは大丈夫?
種類や選び方・必要性などまとめてプロが解説

Wi-Fiセキュリティの基礎知識
Wi-Fiセキュリティとは?

Wi-Fiセキュリティとは、無線ネットワークを利用する際の安全性を確保する仕組みや設定のことを指します。Wi-Fiを利用する際には、インターネットに接続してデータを送受信しますが、これが何の保護もない場合、外部から盗聴されたり、不正アクセスを受けたりするリスクがあります。
特にオープンネットワーク(セキュリティ設定がされていないWi-Fi)は、誰でも簡単に接続できるため、悪意ある第三者に通信内容を覗かれる危険があります。
セキュリティが適切に設定されたWi-Fiでは、Wi-Fiルーターと接続デバイスが事前に認証を行い、暗号化を施すことで安全性を確保する仕組みとなっています。
暗号化と認証方式の重要性
Wi-Fiのセキュリティでは、暗号化と認証方式が重要な役割を果たします。
暗号化は、通信内容を第三者が読み取れないように変換する技術であり、不正な傍受や情報漏洩を防ぎます。
一方、認証方式とは、接続を許可するデバイスかどうかを判断する仕組みです。たとえば、WEP、WPA、WPA2、WPA3といった認証方式がこれに該当します。比較的古い規格であるWEPは脆弱性が多く、簡単に攻撃されてしまう可能性がありますが、WPAやWPA2、最新のWPA3へ進化することで、セキュリティが格段に強化されています。
セキュリティ対策を講じる際には、これらの暗号化方式や認証方式を必ず確認し、最新のプロトコルを利用することが推奨されます。
現代社会におけるWi-Fiセキュリティの必要性
現代社会では、自宅や職場だけでなく、空港やカフェ、図書館などの公共の場でもWi-Fiの利用が一般的になっています。しかし、これに伴いセキュリティリスクも増加しています。特に公共Wi-Fiの多くはセキュリティ保護が十分でなく、通信が暗号化されていない場合もあります。
このような環境で個人情報やパスワードなどを送受信すると、盗聴されたり、不正利用されたりする危険性が高まります。一方、自宅や職場のWi-Fiにおいても、セキュリティが不十分だと、ネットワークの乗っ取りやデータ改ざんの被害を受ける可能性があります。
そのため、パスワードや暗号化方式の設定、定期的な更新などの取り組みが不可欠です。Wi-Fiセキュリティを高めることで、安全かつ快適なインターネット環境を築くことができるのです。
Wi-Fiセキュリティの種類とその特徴
WEPからWPA、WPA2、WPA3への進化

Wi-Fiセキュリティは、技術の進化とともにより強固な仕組みへとアップデートされています。その歴史を振り返ると、初期は「WEP(Wired Equivalent Privacy)」が主流でした。しかし、WEPには多くの脆弱性が存在するため、2000年代に「WPA(Wi-Fi Protected Access)」が登場しました。WPAは暗号化方式を改善するとともに、通信の安全性を向上させました。
次に、より強力で安全性の高い「WPA2」が2004年に導入されました。この規格は、現在広く利用されているWi-Fiセキュリティ規格であり、高度な暗号化技術「AES(Advanced Encryption Standard)」を用いて通信内容を保護しています。
そして、2018年には「WPA3」が発表され、WPA2をさらに進化させた最新規格として、ネットワークセキュリティの堅牢性が強化されています。WPA3では、より強力な暗号化を採用し、オープンネットワークに対しても安全性を高める機能が追加されました。
各暗号化方式の強みと弱点
各暗号化方式には、それぞれの特徴や利点、また弱点があります。最初の暗号化方式であるWEPは導入しやすい一方で、暗号が簡単に解読されるリスクがあり、現在ではほぼ使用が推奨されていません。
次に登場したWPAはWEPの脆弱性を補強しましたが、一定の時間ごとにパスワードが変更される仕様や、初期の暗号化方式であるTKIP(Temporal Key Integrity Protocol)が制限要因となっています。
その後現れたWPA2は、AESを用いた暗号化方式を採用することで、非常に強固なセキュリティを実現しました。ただし、WPA2にも一部脆弱性が指摘されており、例えば脆弱なパスワード設定や大規模なサイバー攻撃に対しては十分に安全であるとは言えない状況でした。
そして、これらの課題を解消するためにWPA3が登場しました。WPA3は、強力な暗号化に加え、セキュリティキーを簡単に強化できる「個別データ暗号化」機能に対応しており、これまでの方式が抱える多くの弱点を克服しています。
最新のセキュリティ規格WPA3
WPA3は、Wi-Fiセキュリティの最新かつ最も信頼性の高い規格です。この規格では、AES暗号化技術をさらに進化させ、パスワードの強度が低い場合でもセキュリティを確保する「SAE(Simultaneous Authentication of Equals)」という認証方式を採用しています。また、接続するデバイスごとに異なる暗号鍵を生成する仕組みが搭載されており、これにより通信データの個別暗号化が可能となっています。
さらに、WPA3はオープンネットワークでも安全性を確保するよう設計されています。例えばカフェや空港などの無料Wi-Fiを利用する場合でも、通信内容が第三者に盗聴されるリスクを低減する「OWE(Opportunistic Wireless Encryption)」機能を取り入れています。そのため、WPA3を採用したネットワーク環境では、従来以上に安心してインターネットを利用できるのです。
認証方式の種類とその仕組み
Wi-Fiセキュリティでは、適切な認証方式を選ぶことが通信の安全性を高める重要なポイントです。主な認証方式は「WEP」、「WPA-PSK」、「WPA2-PSK」、そして最新の「WPA3-PSK」などがあります。「PSK(Pre-Shared Key)」は、Wi-Fiルーターとデバイス間で事前に共有されるセキュリティキーを使用する認証方法です。
最もシンプルなWEPは古い暗号化技術(RC4)を用いており、現代の高度な攻撃には耐えられません。一方、WPAやWPA2は、TKIPやAESを用いた暗号化方式を採用しており、PSK方式の利便性を維持しつつも、高度なセキュリティを提供します。
また、WPA3では、先述の最新技術が取り入れられた結果、個人や企業のネットワーク利用時における安全性がさらに強化されています。
安全なWi-Fi環境を構築するための対策方法
Wi-Fiルーター選びと暗号化方式の設定

Wi-Fiルーターを選ぶ際には、最新のセキュリティ規格に対応しているものを選ぶことが重要です。特に、WPA3に対応しているルーターは現時点で最も強力な暗号化技術を提供しており、安全性が高いとされています。
古い規格のWEPやWPAは脆弱性が指摘されており、選択肢としては推奨されません。適切なルーターを導入し、暗号化方式をWPA2またはWPA3に設定することで、不正アクセスや通信内容の盗聴を防ぐことができます。
セキュリティキー(パスワード)の設定と管理
セキュリティキー、いわゆるWi-Fiパスワードを強固に設定することは、外部からの不正アクセスを防ぐ第一歩です。パスワードは、英字(大文字・小文字)、数字、記号を組み合わせた複雑なものに設定することが推奨されます。
また、推測されやすい情報(名前や誕生日など)は避けるべきです。加えて、定期的にパスワードを変更することで、セキュリティリスクを最小限に抑えることができます。
ゲストWi-Fiの活用とその設定法
自宅やオフィスのWi-FiネットワークにゲストWi-Fi(訪問者用のWi-Fi)を設定することで、本来のネットワークを分離し、セキュリティを向上させることができます。通常、Wi-Fiルーターの管理画面からゲストWi-Fiを有効化できます。
ゲストWi-Fiは、ネットワーク内の主要なデバイスにアクセスさせない独立したインターネット接続を提供するため、利用者の安全とネットワークのセキュリティを両立させることが可能です。
定期的なファームウェアの更新の重要性
Wi-Fiルーターには、セキュリティ機能を強化するためのファームウェアが搭載されていますが、これを放置していると新たな脆弱性が放置される可能性があります。製造企業は定期的にファームウェアのアップデートを公開しており、これを適切に適用することで新たなセキュリティリスクに対応できます。
Wi-Fiルーターの設定画面から簡単に更新できる場合が多いため、定期的に確認して最新状態を保つことが重要です。
Wi-Fiセキュリティの必要性に関する具体例やリスク
盗聴や乗っ取りのリスクにどう対処する?

Wi-Fiセキュリティを適切に設定しない場合、盗聴やネットワークの乗っ取りといったリスクに直面する可能性があります。セキュリティが弱いWi-Fiネットワークでは、通信内容が暗号化されずに送信されるため、インターネット上で交わされる個人情報や機密データが盗まれる危険性があります。
また、外部から不正アクセスされると、機器の乗っ取りによるネットワークの不正使用や、機密データの漏洩が発生します。このようなリスクに対処するためには、WPA3などの最新の暗号化規格を使用し、Wi-Fiルーターに強力なパスワード(文字、数字、記号を組み合わせた複雑なもの)を設定することが重要です。
公共Wi-Fi使用時の注意点
公共Wi-Fiを利用する際には、セキュリティリスクに特に注意が必要です。無料で提供されるオープンネットワークの多くは通信の暗号化が施されていないため、第三者にデータを盗聴されるリスクがあります。
また、悪意ある攻撃者が偽のWi-Fiアクセスポイントを設置し、接続を誘導して個人情報を盗む「マン・イン・ザ・ミドル攻撃」も起こり得ます。このようなリスクを回避するためには、公共のネットワークを利用する場面では、可能な限りVPN(仮想プライベートネットワーク)を使用し、重要な情報の送信(例えば、オンラインショッピングや金融取引)は避けることが推奨されます。
企業におけるWi-Fiセキュリティの重要性
企業においてWi-Fiセキュリティは、情報漏洩やサイバー攻撃を防ぐ上で欠かせない要素です。セキュリティ設定が不十分な場合、従業員のデバイスや企業サーバーへの不正アクセスを許容し、機密情報や顧客データの流出が発生するリスクが高まります。
企業には、ネットワーク全体を暗号化し、WPA2やWPA3などの強力なWi-Fi規格を導入するとともに、定期的に従業員に対するセキュリティ教育を行うことが求められます。
また、ゲストWi-Fiを従業員用Wi-Fiとは別のネットワークとして分離し、管理されたアクセスを提供することで、外部からのリスクを軽減できます。
個人情報漏洩のリスクとセキュリティ意識の高め方
Wi-Fiセキュリティを怠ると、個人情報が容易に漏洩する危険性があります。不適切に保護されたネットワークや簡易なパスワードの使用は、攻撃者に侵入の機会を与えます。特にインターネット上でクレジットカード情報やパスワード、個人データをやり取りする際、セキュリティが強化されていなければリスクが高まります。
これを防ぐ第一歩は、適切な暗号化方式(例:WPA2、WPA3)の導入や、不正アクセスを防ぐための強固なセキュリティキーの活用です。また、定期的なファームウェア更新により、Wi-Fiルーターの脆弱性を排除することも重要です。
さらに、Wi-Fiを利用する全てのユーザーがセキュリティ意識を高め、最新のセキュリティ技術や危険情報について学ぶことが情報保護の鍵となります。
まとめ

Wi-Fiセキュリティは、インターネットを安全に利用する上で欠かせない要素です。暗号化や認証方式といった技術の進化により、ネットワークの安全性は向上していますが、それでもセキュリティリスクは完全には排除できません。そのため、Wi-Fiルーター選びや暗号化方式の適切な設定、セキュリティキーの管理、ファームウェアの定期的な更新といった基本的な対策が重要になります。
また、WPA3をはじめとした最新のセキュリティ規格を活用することで、より強固な保護が実現可能です。それに加え、公共Wi-Fiの利用時には、オープンネットワークのリスクを理解し、VPNなどセキュリティツールを利用する習慣を身につけることがおすすめです。
Wi-Fiは利便性と引き換えに、外部からの攻撃や情報漏洩といったリスクを抱えます。個人、企業問わず、ネットワーク保護の重要性を再確認し、適切なセキュリティ対策を講じることで、安全で快適なインターネット環境を維持しましょう。
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